○下野市認知症総合支援事業実施要綱

平成29年4月11日

告示第66号

目次

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 認知症初期集中支援推進事業(第5条―第11条)

第3章 認知症地域支援・ケア向上事業(第12条―第14条)

第4章 雑則(第15条―第18条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この告示は、介護保険法(平成9年法律第123号。以下、「法」という。)第115条の45第2項第6号の規定に基づき、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の良い環境で暮らし続けるために、本市が実施する下野市認知症総合支援事業の実施について必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第2条 この告示における用語の意義は、法、介護保険法施行令(平成10年政令第412号)、介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。以下「省令」という。)、介護予防・日常生活支援総合事業の円滑な実施を図るための指針(平成27年厚生労働省告示第196号)、介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインについて(平成27年6月5日老発0605第5号厚生労働省老健局長通知)及び地域支援事業の実施について(平成18年6月9日老発第0609001号厚生労働省老健局長通知)の例による。

2 この告示において「認知症地域支援推進員」(以下「推進員」という。)とは、国が実施する研修を受講し、医療機関や介護サービス及び地域の支援機関をつなぐコーディネーターとしての役割を担う者をいう。

3 この告示において「認知症サポート医」とは、国が実施する研修を受講し、かかりつけ医の認知症診断等に関する相談・アドバイザー役、医師会と地域包括支援センターとの連携づくりを担う者をいう。

(事業)

第3条 市は、下野市認知症総合支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。

(1) 認知症初期集中支援推進事業

(2) 認知症地域支援・ケア向上事業

(3) その他認知症の人とその家族等に対する支援に関し必要な事業

(事業の委託)

第4条 市長は、前条の事業の全部又は一部について、省令第140条の67の規定に基づき、市長が適当と認める者に委託(以下「事業委託」という。)することができる。

2 市長は、前項の規定により事業委託を受けた者の行う事業について、適切な運営が確保されない場合又はそのおそれがあると認めるときには、当該契約を解除するものとする。

第2章 認知症初期集中支援推進事業

(認知症初期集中支援推進事業)

第5条 市は、この章の定めるところにより、認知症の人やその家族に早期に関わる認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を配置し、早期診断及び早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする認知症初期集中支援推進事業を実施する。

(支援チームの配置及び役割)

第6条 支援チームは、地域包括支援センターに配置することとし、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師の指導のもと、複数の専門職が家族等の訴え等により第8条に定める支援対象者及びその家族を訪問し、観察・評価・家族支援等初期の支援を包括的かつ集中的に行い、自立生活のサポートを行うものとする。

2 支援チームは、地域包括支援センター職員、本市職員、かかりつけ医、かかりつけ歯科医、認知症サポート医、認知症に係る専門的な知識及び技能を有する医師、認知症疾患医療センター職員、介護事業者等との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保するものとする。

(支援チームの構成)

第7条 支援チームの構成員(以下「チーム員」という。)は、専門職2名(医療職1名及び福祉職員1名)以上及び専門医1名による3名以上をもって構成するものとする。

(1) 専門職は、次の要件のいずれにも該当する者とする。

 保健師、看護師、作業療法士、歯科衛生士、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士等の医療、保健又は福祉に関する国家資格のいずれかを有する者

 認知症ケア又は在宅ケアの実務及び相談業務等に3年以上携わった経験がある者

(2) 専門医は、次に掲げる要件に該当するものとする。

 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師のいずれかに該当し、かつ認知症サポート医であること。

 専門医の確保が困難な場合には、次に掲げる医師を専門医とみなすことができる。

(ア) 日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会の定める専門医又は認知症疾患の鑑別診断等の専門医療を主たる業務とした5年以上の臨床経験を有する医師であって、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する予定のあるもの。

(イ) 認知症サポート医であって、認知症疾患の診断及び治療に5年以上従事した経験を有するもの。

2 チーム員は、国が定める認知症初期集中支援チーム員研修を受講し、必要な知識・技能を修得するものとする。ただし、やむを得ない場合には、国が定める研修を受講したチーム員が受講内容をチーム内で共有することを条件として、同研修を受講していないチーム員の事業参加も可能とする。

(支援対象者)

第8条 この事業の対象者は、市内に在住する原則として40歳以上で、在宅で生活しており、かつ、認知症又は認知症が疑われる次の各号のいずれかに該当する者(以下「支援対象者」という。)とする。

(1) 医療サービス又は介護サービスを受けていない者又は中断している者で、次のいずれかに該当するもの

 認知症疾患の臨床診断を受けていない者

 継続的な医療サービスを受けていない者

 適切な介護サービスに結び付いていない者

(2) 医療サービス又は介護サービスを受けているが、認知症の行動又は心理症状が顕著なため、対応に苦慮している者

(チーム員の役割)

第9条 第7条第1項に定める専門職は、第5条の目的を達成するため支援対象者及びその家族に対して訪問活動等を行うものとする。

2 第7条第1項に定める専門医は、他のチーム員を援助し、認知症に関して専門的見識から指導・助言等を行い、必要に応じてチーム員とともに支援対象者等を訪問し、相談に応じるものとする。

3 支援対象者等の初回の観察・評価の訪問(以下「初回訪問」という。)は原則として2名以上のチーム員で行うものとする。

(業務内容)

第10条 認知症初期集中支援推進事業の内容及び方法は、次に掲げるとおりとする。

(1) 地域住民並びに関係機関及び団体に対し、支援チームの役割及び機能について広報活動を行うものとする。

(2) 認知症の初期集中支援は、次に掲げる業務を行うものとする。

 支援対象者等の把握

(ア) 支援チームが必ず地域包括支援センター経由で支援対象者等に関する情報を入手できるよう配慮するものとする。

(イ) チーム員が直接支援対象者等に関する情報を知り得た場合においても、必ず地域包括支援センターと情報共有を図るものとする。

 情報収集、観察及び評価

(ア) 本人のほか家族等あらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、本人の現病歴、既往歴、生活情報等に加え家族の状況等を情報収集すること。

(イ) 信頼性及び妥当性の検証がされた観察及び評価表を用いて、認知症の包括的観察及び評価を行うこと。

 初回訪問時の支援等

(ア) 支援チームは、チーム員が初回訪問をする際、支援対象者等に対し、次に掲げる支援を行うものとする。

a 認知症の包括的な観察及び評価

b 基本的な認知症に関する正しい情報の提供

c 専門的医療機関への受診及び介護保険サービス利用の効果に関する説明

d 支援対象者等に対する心理的サポート及び助言等

(イ) 支援チームは、支援対象者等及びあらかじめ協力の得られる者が同席できるよう調整を行い、当該支援対象者の現病歴、既往歴、生活情報、家族の状況等の情報を収集するものとする。

(3) チーム員会議の開催

 初回訪問後、支援チームは支援対象者ごとに、観察・評価内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、専門医を含むチーム員会議を行うものとする。

 支援チームは、必要に応じ、支援対象者のかかりつけ医、介護支援専門員及び市関係課職員等のチーム員会議への出席を求めることができる。

(4) 初期集中支援の実施 支援チームは、支援対象が医療サービス又は介護サービスによる安定的な支援に移行するまで概ね6月間、訪問支援対象者等に対し、次に掲げる初期集中支援を実施するものとする。

 医療機関への受診が必要な場合の動機付け

 継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援

 介護サービスの利用等の勧奨及び誘導

 認知症の重症度に応じた助言

 身体を整えるケア

 生活環境等の改善

 その他必要な初期集中支援

(5) 引き継ぎ及びモニタリング

 支援チームは、支援対象者等への初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、当該支援対象者の担当介護支援専門員又は地域包括支援センター職員との同行訪問を行う等の方法により当該介護支援専門員等に円滑に引き継ぎを行うものとする。

 支援チームは、引継ぎの2月後に、当該支援対象者に係る医療サービス及び介護サービスの利用状況等を評価し、支援の必要性を判断の上、随時モニタリングを行うものとする。

 支援対象者に関する情報、観察・評価結果、初期集中支援の内容等を記録した書類を5年間保管するものとする。

(認知症対策推進委員会)

第11条 認知症が疑われる高齢者の早期診断及び早期対応に向けた支援体制の構築等に資するための事業を円滑かつ効果的に実施するため、認知症対策推進委員会(以下「推進委員会」という。)を設置する。

2 推進委員会の構成員は、推進員及び第7条に規定する専門職及び専門医により構成し、市長が任命又は委嘱する。

3 委員の任期は、3年とする。ただし、再任は妨げない。

4 委員が欠けた場合における補欠の委員任期は、前任者の残任期間とする。

5 推進委員会の所掌事項は次の事項について検討を行うものとする。

(1) 認知症の早期診断及び早期対応に向けた支援体制の構築に関すること。

(2) 認知症に関する関係機関との連携に関すること。

(3) 支援チームの設置及び活動状況に関すること。

(4) 認知症に関する地域における支援体制の構築と認知症ケア向上に関すること。

(5) その他認知症に関する活動について必要な事項に関すること。

6 推進委員会の会議は、市長が必要に応じて招集する。

7 推進委員会の庶務は、健康福祉部高齢福祉課において処理する。

第3章 認知症地域支援・ケア向上事業

(認知症地域支援・ケア向上事業)

第12条 市は、この章の定めるところにより、認知症に対する医療・介護等の連携強化等による地域の支援体制の構築と認知症ケアの向上を図ることを目的とする認知症地域支援・ケア向上事業を実施する。

(推進員の配置及び役割)

第13条 推進員は、地域包括支援センター等に複数配置するものとする。

2 市は、必要に応じて、栃木県と連携を図り、研修会、関係者によるネットワーク会議等の機会を通じて、推進員の活動を行う上で有すべき知識の確認と資質の向上に取り組むものとする。

(推進員の業務内容)

第14条 推進員の行う認知症地域支援・ケア向上事業の内容及び方法は、次に掲げるとおりとする。

(1) 認知症の人に対し、状態に応じた適切なサービスが提供されるよう、地域包括支援センター、医療機関、介護サービス事業者、認知症サポーター等地域において認知症の人を支援する関係者の連携を図るための取組を行う。

(2) 推進員を中心に地域の実情に応じて、地域における認知症の人とその家族を支援する相談支援又は支援体制を構築するための取組を行う。

(3) 医療機関、介護保険施設等の職員の認知症への理解を深め、対応力を高めるために、処遇困難事例についての相談があった場合には、事例検討を行い、個別支援を実施すること。

(4) 認知症の人の家族に対する支援事業を行い、認知症の人とその家族を支えるつながりを支援し、認知症の人の家族の介護の負担軽減を図る。

(5) 認知症の人、その家族、地域住民、専門職等が認知症カフェ等の形態で集う取組(以下「認知症カフェ」という。)等の開催と相談事業並びに支援を行う。

(6) 認知症カフェ等を通じて、顔なじみになったボランティアや認知症の人の家族の方が「認とも」として、認知症の人の居宅を訪問して、一緒に過ごす取組の実施

(7) 認知症の人の家族向け交流会や介護教室の開催

(8) 認知症ケアに携わる多職種協働のための研修事業の開催にあたり、医療及び介護は生活支援の一部であることを十分に意識し、医療介護等が相互の役割及び機能を理解しながら、総合的なケアにつなげていくための企画調整を市とともに行う。

第4章 雑則

(個人情報の保護)

第15条 チーム員、推進員及び委託法人は、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)の規定等を踏まえ、訪問支援対象者及び対象世帯並びに利用者及び利用者の世帯の個人情報及びプライバシーの尊重及び保護に万全を期すものとし、正当な理由なくその事業に関して知り得た個人に関する情報その他の秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(普及啓発)

第16条 市は、市民、関係機関、関係団体等に対し、支援チームの役割及び機能について広報活動及び協力依頼を行う等、普及啓発に努めるものとする。

(庶務)

第17条 認知症総合支援事業に関する庶務は、健康福祉部高齢福祉課において処理する。

(その他)

第18条 この告示に定めるもののほか、事業の実施に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この告示は、公布の日から施行する。

下野市認知症総合支援事業実施要綱

平成29年4月11日 告示第66号

(平成29年4月11日施行)