○下野市中小企業・小規模企業の振興に関する条例

平成30年3月23日

条例第3号

下野市は、関東平野の北部、栃木県の中南部に位置し、天武天皇の白鳳時代には下野薬師寺が建立され、日本三戒壇の一つである戒壇が設置された。また、8世紀には聖武天皇の詔により下野国分寺・国分尼寺が建立され、古代東国地方の仏教文化の中心地として栄えた。江戸時代には日光街道の宿場町として繁栄し、物流の要衝として発展してきた。現在は、JR宇都宮線、国道4号及び新4号国道が南北に縦貫し、また、北関東自動車道が東西に横断するなど、地理的優位性や交通の高い利便性を有し、首都圏の一端を担っている。また、工場や物流など諸産業の立地条件に恵まれるとともに、自治医科大学・同附属病院が立地し、医療の充実した地域となっている。

これらの恵まれた立地条件の中において、中小企業・小規模企業は、地域との密接な関係を築きながら事業を展開し、地域経済を支え、雇用を創り出してきた。

しかしながら、少子高齢化や人口減少の進展、経済のグローバル化等に伴う急激な環境の変化により、経営資源の確保が困難な中小企業・小規模企業は非常に厳しい経営環境に置かれている。

このような状況の下、中小企業・小規模企業の発展を促進していくためには、中小企業・小規模企業が主体的かつ積極的に経営の向上に努めることはもとより、企業、関係機関等、市民及び市が、地域の発展のために中小企業・小規模企業が不可欠であることを理解し、支援することが重要である。

ここに、それぞれが果たすべき役割を明らかにし、連携して中小企業・小規模企業の振興を図り、本市経済の活性化と持続的発展を実現するため、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、中小企業・小規模企業の振興に関する基本理念を定め、市の責務等を明らかにするとともに、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を計画的かつ総合的に推進し、もって本市経済の健全な発展及び市民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 中小企業・小規模企業の振興 中小企業の多様で活力ある成長発展及び小規模企業の事業の持続的な発展を図ることをいう。

(2) 中小企業者 中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条第1項に規定する中小企業者であって、市内に事務所又は事業所(以下「事務所等」という。)を有するものをいう。

(3) 小規模企業者 中小企業基本法第2条第5項に規定する小規模企業者であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(4) 中小企業支援団体 商工会その他の中小企業・小規模企業の支援を目的とする団体をいう。

(5) 金融機関等 銀行、信用金庫その他の金融機関であって、市内に支店を有するもの及び株式会社日本政策金融公庫その他政府系金融機関並びに信用保証協会であって栃木県内に所在するものをいう。

(6) 大企業者 中小企業者以外の事業者(金融機関を除く。)であって、市内に事務所等を有するものをいう。

(7) 教育機関等 大学、高等専門学校、高等学校その他の教育機関、公共職業能力開発施設及び研究機関をいう。

(基本理念)

第3条 中小企業・小規模企業の振興は、中小企業者・小規模企業者(以下「中小・小規模企業者」という。)による経営の改善及び向上を図るための自主的な努力が促進されることを旨として推進されなければならない。

2 中小企業・小規模企業の振興は、中小・小規模企業者が、その多様性を活かした事業活動を通じて、地域経済の活性化を促進し、多くの雇用を創出する等地域社会の発展及び市民生活の向上に貢献する重要な存在であるという認識の下に推進されなければならない。

3 中小企業・小規模企業の振興は、市、中小・小規模企業者、中小企業支援団体、金融機関等、大企業者及び市民が相互に連携を図りながら協力することにより推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を計画的かつ総合的に実施する責務を有する。

2 市は、工事の発注、物品及び役務の調達等に当たっては、予算の適正な執行に留意しつつ、中小・小規模企業者の受注の機会の増大に努めるものとする。

(中小・小規模企業者の努力)

第5条 中小・小規模企業者は、基本理念にのっとり、経済社会情勢の変化に対応してその事業の発展を図るため、自主的にその経営の改善及び向上に努めるものとする。

2 中小・小規模企業者は、地域における雇用機会の創出並びに従業員の労働環境の整備及び福祉の向上に努めるとともに、その事業活動を通じて地域の振興に寄与するよう努めるものとする。

3 中小・小規模企業者は、中小企業支援団体への加入に努めるものとする。

(令5条例30・一部改正)

(中小企業支援団体の役割)

第6条 中小企業支援団体は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の振興に主体的に取り組むとともに、市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 中小企業支援団体は、中小・小規模企業者の多様な需要に対応するため、当該中小企業支援団体の職員の業務遂行能力の向上に努めるものとする。

(金融機関等の役割)

第7条 金融機関等は、基本理念にのっとり、中小・小規模企業者の円滑な資金調達並びに経営の改善及び向上に協力するよう努めるものとする。

2 金融機関等は、市が実施する中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(大企業者の役割)

第8条 大企業者は、基本理念にのっとり、中小・小規模企業者の地域社会及び地域経済に果たす役割の重要性について理解を深め、中小・小規模企業者との連携及びその振興に努めるものとする。

(教育機関等の役割)

第9条 教育機関等は、基本理念にのっとり、労働及び職業に対する意識の啓発を図り、中小企業・小規模企業の振興の担い手となる人材の育成に努めるとともに、中小企業・小規模企業の振興に協力するよう努めるものとする。

(市民の役割)

第10条 市民は、基本理念にのっとり、中小企業・小規模企業の振興が地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出等地域住民の生活の向上に寄与することについて理解を深めるとともに、中小・小規模企業者が供給する製品及び役務の利用を通じて中小・小規模企業者の発展に協力するよう努めるものとする。

(財政上の措置)

第11条 市は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(施策の基本方針)

第12条 市は、中小企業・小規模企業の振興に関する施策の策定及び実施にあたっては、次に掲げる事項を基本として行うものとする。

(1) 中小・小規模企業者の経営の革新及び経営基盤の強化を促進すること。

(2) 中小・小規模企業者の創業及び事業承継を促進すること。

(3) 中小・小規模企業者への資金調達の円滑化を図ること。

(4) 中小・小規模企業者における人材の育成及び確保を図ること。

(小規模企業者への配慮)

第13条 市は、小規模企業者の経営に関する相談、指導、研修等に係る体制を整備するともに、小規模企業者の事業活動を支援するために必要な施策を推進するものとする。

2 市は、中小企業支援団体や金融機関等が実施する小規模企業者の振興に関する取組に対し、必要な施策を推進するものとする。

この条例は、公布の日から施行する。

(令和5年12月22日条例第30号)

この条例は、公布の日から施行する。

下野市中小企業・小規模企業の振興に関する条例

平成30年3月23日 条例第3号

(令和5年12月22日施行)