○下野市犯罪被害者等支援条例
令和5年3月22日
条例第3号
(目的)
第1条 この条例は、犯罪被害者等基本法(平成16年法律第161号)に基づき、本市における犯罪被害者等の支援に関し、基本理念を定め、本市、市民等及び事業者の責務を明らかにするとともに、犯罪被害者等の支援について基本となる事項を定め、当該支援に必要な施策を総合的に推進することにより、犯罪被害者等が受けた被害の軽減及び回復を図り、もって安全で安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(1) 犯罪等 犯罪及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす行為をいう。
(2) 犯罪被害者等 犯罪等により被害を受けた者及びその家族又は遺族をいう。
(3) 市民等 市内に居住し、滞在し、勤務し、又は在学する者及び市内で活動する団体をいう。
(4) 事業者 市内で事業活動を行う個人、法人その他の団体をいう。
(5) 再被害 犯罪被害者等が当該犯罪等の加害者等から再び受ける生命、身体、財産等の被害をいう。
(6) 二次的被害 犯罪等による直接的な被害を受けた後に、周囲の者の理解又は配慮に欠ける言動、風評、誹謗中傷、インターネットでの拡散、報道機関による過剰な取材等により、犯罪被害者等が正当な理由なく受ける精神的な苦痛、身体の不調、名誉の毀損、私生活の平穏の侵害、経済的な損失その他の被害をいう。
(7) 犯罪行為 日本国内又は日本国外にある日本船舶若しくは日本航空機内において行われた人の生命又は身体を害する罪に当たる行為(刑法(明治40年法律第45号)第37条第1項本文、第39条第1項又は第41条の規定により罰せられない行為を含むものとし、同法第35条又は第36条第1項の規定により罰せられない行為及び過失による行為を除く。)をいう。
(8) 重傷病 負傷若しくは疾病が治り、又はその症状が固定する前における当該負傷又は疾病に係る身体の被害であって、次のいずれにも該当するものをいう。
ア 当該負傷又は疾病の療養の期間が1月以上であったこと(当該疾病が精神疾患である場合には、その療養の期間が1月以上であって、かつ、その症状の程度が3日以上労務に服することができない程度であったものに限る。)。
イ 当該被害に係る被害届が警察に受理されていること又は当該被害届を警察に提出することが困難であると市長が認めたこと。
(基本理念)
第3条 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等の個人としての尊厳が重んぜられるよう、十分に配慮して行われなければならない。
2 犯罪被害者等の支援は、犯罪被害者等が犯罪等による被害を受けた時から再び平穏な生活を営むことができるようになるまでの間、被害の状況及び原因、犯罪被害者等が置かれている状況等に応じて、適切に途切れることなく行われなければならない。
3 犯罪被害者等の支援は、再被害及び二次的被害を生じさせることのないよう、犯罪被害者等に関する個人情報の取扱いについて十分に配慮して行われなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、国、他の地方公共団体、警察その他の関係機関及び犯罪被害者等の支援に関する活動を行う民間の団体(以下「関係機関等」という。)との適切な役割分担を踏まえて、犯罪被害者等の支援に関する施策を策定し、及び実施するものとする。
2 市は、前項の施策が円滑に実施されるよう、関係機関等との連携及び協力を図るものとする。
(市民等の責務)
第5条 市民等は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況並びに犯罪被害者等の支援の重要性及び必要性についての理解を深め、再被害及び二次的被害を生じさせることのないよう十分に配慮するとともに、市及び関係機関等が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等が置かれている状況並びに犯罪被害者等の支援の重要性及び必要性についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、再被害及び二次的被害を生じさせることのないよう十分に配慮するとともに、市及び関係機関等が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に協力するよう努めるものとする。
2 事業者は、犯罪被害者等がその被害に係る刑事に関する手続等に適切に関与することができるよう、犯罪被害者等の就労及び勤務について、十分に配慮するよう努めるものとする。
(相談及び情報の提供等)
第7条 市は、犯罪被害者等が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるよう、犯罪被害者等が直面している各般の問題について相談に応じ、必要な情報の提供及び助言を行うとともに、関係機関等との連絡及び調整を行うものとする。
2 市は、犯罪被害者等の支援に関する相談、情報の提供等を総合的に行うための窓口を設置するものとする。
(見舞金の支給)
第8条 市は、犯罪被害者等が一日も早く平穏な暮らしを取り戻すことができるよう、遺族見舞金及び重傷病見舞金(以下「見舞金」という。)を支給するものとする。
(1) 遺族見舞金 犯罪行為により死亡した者(当該犯罪行為が行われた時において、市民(本市の住民基本台帳に記録されていた者その他規則で定める者をいう。次号において同じ。)であった者に限る。)の遺族として規則で定める者
(2) 重傷病見舞金 犯罪行為により重傷病を負った者(当該犯罪行為が行われた時において、市民であった者に限る。)
(1) 遺族見舞金 30万円
(2) 重傷病見舞金 10万円
4 前3項に掲げるもののほか、見舞金の支給に関し必要な事項は、規則で定める。
(安全の確保)
第9条 市は、関係機関等と連携して、犯罪被害者等が再被害及び二次的被害を受けることを防止し、その安全を確保するため、防犯に係る指導、犯罪被害者等に係る個人情報の適切な取扱いの確保その他の必要な施策を講ずるものとする。
(居住の安定)
第10条 市は、犯罪等により従前の住居に居住することが困難となった犯罪被害者等の居住の安定を図るため、必要な施策を講ずるものとする。
(人材の育成等)
第11条 市は、犯罪被害者等の支援を適切に行うため、相談、情報の提供等の犯罪被害者等の支援を担う人材の育成及び資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする。
(市民等及び事業者の理解の増進)
第12条 市は、犯罪被害者等が置かれている状況並びに犯罪被害者等の支援の重要性及び必要性について市民等及び事業者の理解を深めるため、情報の提供、啓発活動その他の必要な施策を講ずるものとする。
(教育活動の推進)
第13条 市は、学校、家庭及び地域社会と連携し、自他の生命を尊重するための教育活動を推進するものとする。
(民間支援団体への支援)
第14条 市は、犯罪被害者等の支援に関する活動を行う民間の団体に対し、その活動の促進を図るため、情報の提供その他の必要な支援を行うものとする。
(意見等の反映)
第15条 市は、犯罪被害者等の支援を適切に行うため、犯罪被害者等からの意見及び要望を把握し、市が実施する犯罪被害者等の支援に関する施策に反映させるよう努めるものとする。
(支援の制限)
第16条 市は、犯罪被害者等が犯罪等を誘発した場合その他の犯罪被害者等の支援を行うことが社会通念上適切でないと認められる場合は、この条例に定める犯罪被害者等に対する支援を行わないことができる。
(委任)
第17条 この条例の施行に関し、必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、令和5年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 第8条の規定は、この条例の施行の日以後に発生した犯罪行為により死亡した者の遺族又は重傷病を負った者について適用する。