○下野市だれもが輝く男女共同参画社会づくり条例

平成28年3月18日

条例第1号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第3条)

第2章 責務(第4条―第7条)

第3章 基本的施策(第8条―第15条)

第4章 禁止事項(第16条)

第5章 雑則(第17条)

附則

下野市は古来より災害が少なく、緑豊かな地として人々の生活が営まれたことから、多くの古墳が築造され、奈良時代には下野薬師寺や下野国分寺・国分尼寺が建立されるなど、古代東国地方における仏教文化の中心地として栄えました。

こうして形成されてきた私たちの故郷下野市は、少子高齢化の進展や社会経済情勢の変動に伴う家族形態や地域社会の変化などに的確に対応し、市民との協働により、さらに飛躍と発展するまちづくりを進めていかなくてはなりません。

これまでにも、男女共同参画を目指す国際社会や国の動きを踏まえ、お互いを理解し尊重する心豊かな社会の実現を目指し、取組を進めてきましたが、今なお、性別による固定的な役割分担意識や社会的慣習が存在していることも事実です。

これらの課題を解決するためには、職場、地域その他あらゆる分野において女性の活躍を推進することにより、豊かで活力ある社会の実現を図ることが必要です。そして、すべての人が、性別に関わりなく個人として尊重され、自らの意思によって多様な生き方を選択し、その個性と能力を発揮することができる男女共同参画社会の実現が求められています。

ここに、私たちは、だれもが輝くことができる男女共同参画社会を実現するため、市、市民、事業者及び市民団体等が一体となって男女共同参画の推進に取り組むことを決意し、この条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、市、市民、事業者及び市民団体等の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する市の施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画社会実現のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、それによって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) 市民 市内に住む人、働く人、学ぶ人及び活動する人をいう。

(4) 事業者 市内において事業を行う個人及び法人をいう。

(5) 市民団体等 自治会、PTA等地域社会において住民の教育・福祉の向上のための活動を行う団体等、事業者以外の市内で活動する全ての団体をいう。

(6) ハラスメント 相手の意に反した言動を行うことにより、相手方に不快感若しくは不利益を与え、又は相手方の尊厳を傷つける行為のことをいう。

(基本理念)

第3条 市、市民、事業者及び市民団体等は、次に掲げる事項を基本理念として男女共同参画を推進しなければならない。

(1) 男女の人権の尊重 男女の個人としての尊厳が重んじられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されること、その他の男女の人権が尊重されること。

(2) 社会における制度又は慣行についての配慮 男女が、性別による固定的な役割分担意識に基づいた社会における制度又は慣行にとらわれることなく、自らの意思において多様な生き方を選択できること。

(3) 政策等の立案及び決定への共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、市の政策又は事業所等における方針の立案及び決定に参画する機会が確保されていること。

(4) 家庭生活における活動と他の活動の両立 男女が、相互の協力と社会支援の下、家事、子育て、介護等の家庭生活における活動及び地域、学校、職場、その他の社会のあらゆる分野における活動を両立でき、ワーク・ライフ・バランスが保たれること。

(5) 男女の生涯にわたる健康の確保 男女が互いの身体的特徴及び性についての理解を深め、尊重し合うことにより、生涯にわたり心身ともに健康な生活を営むことができるようにすること。

(6) 国際的協調 男女共同参画の推進のための取組が、国際社会の動向と密接な関係があることを考慮し、国際社会と協調して行われること。

(7) 性同一性障がい者等に対する配慮 性同一性障がい又は先天的に身体上の性別が不明瞭である人等に配慮すること。

第2章 責務

(市の責務)

第4条 市は、男女共同参画の推進を主要な政策として位置づけ、基本理念に基づき、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に実施するものとする。

2 市は、前項の規定による施策以外の施策の策定及び実施に当たっては、基本理念に沿うよう配慮するものとする。

3 市は、男女共同参画の推進に当たっては、国及び栃木県その他の地方公共団体と連携を図り、市民、事業者及び市民団体等と協力して取り組むものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念に基づき、男女共同参画の推進に関する施策への理解を深めるとともに、家庭、地域、学校、職場その他のあらゆる場において男女共同参画を推進するよう自ら努めるものとする。

2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念に基づき、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画を推進し、積極的改善措置を講ずるよう努めるものとする。

2 事業者は、職業生活及び家庭生活その他の生活との両立を支援するため、職場環境を整備するよう努めるものとする。

3 事業者は、市及び市民との連携を図り、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(市民団体等の責務)

第7条 市民団体等は、基本理念に基づき、男女共同参画の推進に努めるとともに、当該団体の運営や活動方針の決定、計画の立案等において、男女が共に参画する機会を確保するよう努めるものとする。

2 市民団体等は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に積極的に協力するよう努めるものとする。

第3章 基本的施策

(基本計画)

第8条 市は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第3項の規定に基づき、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(以下「基本計画」という)を策定するものとする。

2 基本計画の策定に当たっては、基本理念に基づくものとする。

3 市は、基本計画を策定し、又は変更しようとするときは、下野市男女共同参画推進委員会条例(平成25年下野市条例第4号)に規定する下野市男女共同参画推進委員会の意見を聴くとともに、市民等の意見を反映するよう努めるものとする。

4 市は、基本計画を策定し、又は変更した時は、速やかにこれを公表するものとする。

(市民、事業者及び市民団体等の理解を深めるための措置)

第9条 市は、広報活動を通じて、基本理念に関する市民、事業者及び市民団体等の理解を深めるよう適切な措置を講ずるものとする。

(学習活動への支援)

第10条 市は、家庭、地域、学校、職場その他のあらゆる分野における、男女共同参画の推進のための学習機会の充実及び学習活動への支援を行うものとする。

(農業、商工業等の自営業における男女共同参画社会の形成)

第11条 市は、農業、商工業等の自営業において男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって、農業、商工業等の自営業の経営又はこれらに関する活動若しくは地域における活動に共同して参画する機会を確保するため、活動の支援を行うものとする。

(推進体制)

第12条 市は、男女共同参画に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、体制の整備を図るものとする。

(調査研究)

第13条 市は、男女共同参画の推進に関し必要な情報の収集及び調査研究を行うものとする。

(実施状況の公表)

第14条 市長は、毎年、男女共同参画の推進に関する施策の実施状況等について、公表するものとする。

(苦情及び相談への対応)

第15条 市民、事業者及び市民団体等は、市長に対し次に掲げる事項に係る苦情及び相談を申し出ることができる。

(1) 男女共同参画に係る人権侵害に関すること。

(2) 男女共同参画推進施策に関すること。

2 市長は、前項に規定する申出を受けたときは、関係機関と連携し、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

第4章 禁止事項

(性別による差別的取扱いの禁止)

第16条 全ての人は、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、直接的であるか間接的であるかを問わず、性別を理由とする差別的取扱い及び人権の侵害を行ってはならない。

2 全ての人は、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、ハラスメント及び配偶者への暴力その他性別に起因するあらゆる暴力を行ってはならない。

第5章 雑則

(委任)

第17条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

この条例は、平成28年4月1日から施行する。

下野市だれもが輝く男女共同参画社会づくり条例

平成28年3月18日 条例第1号

(平成28年4月1日施行)