平成30年度 当初予算編成方針
本市の財政状況
本市の財政状況は、これまでの事務事業や補助金の見直し、各種基金への計画的な積立及び、積極的な地方債の繰り上げ償還など、様々な取組による成果から財政の健全性を維持しているところである。
平成29年7月に策定した「第三次下野市長期財政健全化計画」(以下「健全化計画」という。)に基づき、引き続き事務事業の見直し等に取り組み、財政の健全性の維持に努める。
今後の課題としては、歳入の根幹をなす市税収入は比較的安定しているが、今後の増加要因が見いだせず、不透明な状況である。また、主要な一般財源である普通交付税、平成28年度から段階的縮減期間に入っているが、合併特例債や臨時財政対策債の償還により基準財政需要額が大幅に増加し、当初見込んでいた削減幅にはなっていないものの、今後とも大幅な減収に留意しなければならない。
更に、これまで有効財源として活用してきた合併特例債も、活用期限と活用限度額が迫っている状況である。
昨今の社会情勢として、本市も例外なく少子高齢化の進行等により、医療福祉関係経費など社会保障費の増加は避けがたい状況にある。このほか、「第二次下野市総合計画」(以下「第二次総合計画」という。)に基づく重点プロジェクトをはじめとする各施策への取組や、公共施設等総合管理計画に基づく後年度の長期的な維持管理経費を抑制するため、公共施設等の老朽化対策と再編を進める中、新たな投資も必要となる。
こうしたことから、引き続き合併特例期間終了後の財政運営に備えた経常経費の削減と、有利な財源の確保のための取組を進めることが重要である。
国・県の動向
内閣府が発表した9月の月例経済報告では、景気認識を示す基調判断を「景気は、緩やかな回復基調が続いている。」とし、「先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかに回復していくことが期待される。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要がある。」としている。
これを受けた国の基本的態度として、東日本大震災からの復興・創生及び平成28年(2016年)熊本地震からの復旧・復興に向けて取り組むとともに、デフレからの脱却を確実なものとし、経済再生と財政健全化の双方を同時に実現していくとしている。
また、県においては、平成29年2月に改訂した中期財政収支見込みで、平成33年度までの各年度において財源不足を見込んでいることから、行政経費の削減等による収支均衡予算編成を目指す一方、義務的経費である医療福祉関係経費の増のほか、総合スポーツゾーン等の大規模建設事業関連経費の増等により、平成30年度の市町村への財政支援についても、一層厳しい状況が想定される。
編成の基本方針
平成30年度の当初予算編成にあたっては、第二次総合計画に位置づけした重点プロジェクトへの取組を加速させると共に、下野市まち・ひと・しごと創生総合戦略(以下「総合戦略」という。)に掲げる基本目標に則した施策・事業の展開による地方創生や地域活性化のための施策の具現化を図るものとし、昨年に引き続き、健全化計画の遵守による健全財政を堅持した、「下野市創生実行予算」と位置付けて編成するものである。
そのためにも、国の「経済財政運営と改革の基本方針2017」や県の動向を踏まえ、更に、各施策の実現に有効な財源となる国の経済対策を看過することなく情報収集に努める。また、真に必要な施策に予算が重点配分されるよう、事務事業評価に基づく優先順位により、メリハリのついた予算とする。
なお、編成のための基本的な考え方として、特に重要な次の5項目を示すので、十分に留意のうえ、編成作業にあたること。
第二次総合計画に定める重点プロジェクトへの加速的取組
- 重点プロジェクトの計画的な実行
- 重点プロジェクトのための予算の確保(投資的経費、経常枠内経費)
総合戦略における4つの基本目標に則した事業の具現化
- 魅力的で安定した雇用創出
- 東京圏からの新たなひとの流れの創出
- 若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる
- 安心なくらしを守り幸せを実感できるまちづくり
事務事業評価に基づく事業の選択と集中
- 既存事業の実施効果と必要性、継続性の検証
- 効率的な予算の執行と施策の優先順位付け
地方債の活用見直しと特定基金の積極的活用
- 活用期限が迫った合併特例債の活用の重点化
- 財政措置の有利な起債の積極的活用
- 公共施設整備基金等の有効活用
普通交付税の段階的縮減への対応
- 第三次行政改革大綱実施計画の全庁的な取組による事務事業の見直し
- 公共施設等総合管理計画に基づく統廃合も含めた施設運営の見直し
- 各種補助金・交付金等の見直し
- イベント開催時の協賛金や広告収入など新たな収入の確保
査定の重点ポイント
予算編成時の大きな課題である健全財政の堅持と第二次総合計画や総合戦略に基づく事業推進を基本とし、本年度においては、次の6項目を査定の重点ポイントに定めたので、各部局内の十分な協議・調整に基づき、適正な要求をすること。
第二次総合計画と総合戦略の実行に向けた予算要求
平成30年度は、第二次総合計画に基づく予算編成の3年目となることから、計画事業を加速的に実行するための要求とすること。
また、総合戦略の基本的な考え方である少子化対策及び定住化促進施策の更なる具現化を目指した要求とすること。
投資的経費(一般財源分)の枠配分による計画的な執行
枠配分額を査定の上限とするので、各部局が主体となり、施策の片寄りが無く、最大限の効果を見込めるよう、部局内で配分枠の範囲内で調整すること。
経常枠内経費(一般財源分)の枠配分による2%削減
前年度の当初予算経常枠内経費から、前年度重点プロジェクト事業費・地方創生推進事業費を除いた額の2%を削減額に設定。
第二次総合計画や総合戦略等各種施策へ加速的に取り組むことを前提に枠配分額を設定したが、重点プロジェクトといえども各部局内調整と、事務事業評価に基づく優先順位による調整を行うこと。
個別査定の重視
原則、枠配分による部局内調整を基本とするが、配分を超える場合は個別に査定するので、各事業の執行計画や予算規模等を十分考慮した要求とすること。
インセンティブ予算制度の継続実施
今年度導入したインセンティブ予算制度については、平成30年度も引き続き実施することから、各部局においては、創意工夫による事務事業の見直し等に努めること。
補助金・交付金等の見直しによる予算要求
今年度に実施した3年毎の補助金見直し結果は、平成30年度当初予算に反映させることとする。したがって、補助金交付額の算出にあたっては、補助金見直し結果によるものとする。
特に、団体運営費補助金は、必要性、支出根拠等を明確にすること。
要求基準等
各部局においては国・県施策の反映は基より、下野市の地域資源を生かした魅力の向上の観点から既存施策の成果を検証し、選択と集中、スクラップ&ビルドの原則に基づき、主体的に事業の再構築を行い、別に定める「予算要求要領」のほか、次の留意点を遵守し、予算要求すること。
その他予算要求上の留意点
- 各部局とも自らの判断と責任において、市民ニーズを的確に把握した上で事業の優先順位を見極め、メリハリのついた要求とすること。また、事業手法の見直しや自主財源の確保など、歳入・歳出全般にわたる事業内容の徹底した見直しを図ること。
- 国・県補助金の導入について最大限の努力を図り、財源の確保に努めること。市単独事業は、事務事業評価結果を勘案しつつ、事業継続の必要性を再検証し、廃止又は大幅な見直しを図ること。とりわけ、事業費と受益者数を比較し効率性の低い事業は見直すこと。
- 国の経済・財政再生計画に対応するため、各部署においては、情報収集に万全を期することはもより、国の補正予算や制度の変更等も想定し、準備を進めること。なお、国・県の制度等が未確定な施策等については、現行制度による要求とする。
- 工事請負費の要求に当たっては、用地補償、実施設計等の進捗状況を確認したうえで、関係課や関係機関との協議が整理されるなど、年度内の執行完了が確実な事業費のみを要求すること。なお、財源については国・県補助金等特定財源の確保に努め、併せて、合併特例債以外の財政的に優位な起債制度についても十分に検討したうえで要求すること。
- 要求にあたっては、これまでの議会審議(一般質問等)における市長答弁の趣旨を踏まえ積極的に取り組むとともに、監査委員からの指摘事項についても十分検討したものとすること。また、職員提案審査結果についても可能な限り反映するよう検討すること。
- 各部局の要求額は、別紙「要求基準表」に掲げる経費の区分ごとに定める要求基準額の範囲内とする。